叩き上げの英語 224
PART12
体当り英語人生 やったあ!― (人生前半の結節点としての) 米国留学
To continue or not to continue, that is the question!
米国留学 (ラックランド航空基地・テキサス)
私の受けるコースはGCAと決まった。これは勿論私の希望したものだが、先輩の意見から、これなら自衛隊退職後も航空局でりっぱに使えるということで、
いわゆるつぶしのきく航空交通管制のうちのこの地上誘導管制 Ground Controlled Approach をえらんだというわけである。
このコースは私を含めて空曹は総勢四名が参加した。畠中一曹と木村・管沼各二曹である。それに幹部五名も加わる。 昭和三十二年五月二十四日、私たちは生まれて初めての海外旅行に向け出発した。
羽田空港での「きみたち一人一人はりっぱな日本の外交官となり、訓練はもちろん、私生活においても天地に恥じぬよう心して行動せよ」という訓示が妙に印象深く心に残る。
日航のDC7C型機は四発のプロペラ機である。サンフランシスコに着くまでウェーキ島とホノルルに寄港し、給油をしなければならなかった。
機は着陸態勢をとった。眼下一杯に拡がるハワイの海は青く澄んでいた。その海がぐんぐん盛りあがってくる。毎分400フィートの降下速度か。
四年に渡った太平洋戦争はこの空から始まったのだった。当時のゼロ戦搭乗員たちはどんな気持で機銃を握り、この海に向かって急降下していったのだろうか。
今は昔、その相手国アメリカに向けその訓練を受けるべく私はこうして飛んでいる。運命の糸一本ちがえただけで幽明境を異にする。
戦火に散ったものと、こうして生きているものと。人の世の生と死と、二つしかないさだめはうすくはかない。