叩き上げの英語 190
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叩き上げの英語 190



ここが学校であるだけに学生の入学式、卒業式など晴れがましい行事がここにはいくつかある。

その都度その式典には直接間接に彼らの教育にかかわった米軍事顧問団が必ず招待された。

式次第には顧問団代表祝辞という文字があり、それに並べてその代表者の名前も記されていたが、しかし彼と一緒に壇上に並んで立つはずの通訳の名はついぞ出たことがなかった。

もしも失敗すれば厳しゅくな式そのものがぶちこわしになってしまうという大変に重要で責任も決して軽くない通訳は、いつも縁の下の力持ちという存在でしかないのか。

この年に初めて警察予備隊に婦人が採用された。もちろん看護婦としてである。身分は職員であり、制服の隊員ではなかった。男世帯の殺風景な学校に若い女性が入って来たということであたりはいっぺんに花やいだ。

彼女らの衛生学校入校式には祝辞をするはずの顧問団代表のフリーマン中佐も、年相応にうすくなった髪をけんめいに撫でつけていた。

私も当時は二十三歳と若く、女性だけの前に立つ通訳は初めてだったので張り切らざるを得なかった。

英語での祝辞もひとつのスタイルがあり、導入にはやはりそれなりの決まり文句がある。

On behalf of the Military Assistant and Advisory Group-Japan, I wish to extend my hearty congratulations to all of you here present at the happy event of entrance.