叩き上げの英語 157
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叩き上げの英語 157

 

ある日憲兵司令官の部屋に呼ばれた私は、何事かと行ってみると、司令官は机の中から大事そうに包んである品物を取り出し、私にそれを売って欲しいというのである。

「それは何ですか What is that?」とたずねる私に彼は言った、This is a microscope. Can you sell this for me? I need some Japanese yen. 日本円が欲しい、というのである。

この場合の some は「いくらかの」ではなく「まとまった(金額)」という意味合いである。彼はつづけて言った。How much do you think I can get for this? いくらで売れると思うか、とたずねられても、生来、物の売り買いにはまったく疎い私はさっぱり見当がつかない。

do you think は how much を使った疑問文へのそう入のスタイルである。  普通なら How much can you sell this for? と作文したいところだが、自分の得る金額を頭に浮かべると、このような「得る」という動詞 get を使う作文になるのであろう。

それに do you think がそう入されたと理解すればよい。  私は I haven’t got the slightest idea, but I will try to sell it for you, sir. と答えた。  

「わかりません」は単に I don’t know ではいつものことながら芸がない。このように「もっとも少しのアイディアも持っていない」とする。最上級を巧みに使いこなしている文である。