叩き上げの英語 137
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叩き上げの英語 137

 

日本語ならさしずめ「その方があなたの勉強になる」というところだが、彼は「あなたはあなたの英語を向上させることができる、その方法で」と表現した点、私は大変勉強になった。

というのはこの日本語の「あなたの勉強になる」は主語もわからず、一瞬その通訳にとまどいを感ずるようなことがしばしば過去にあったからだ。

「勉強になる」を「インプルーブする」と表現すればよいのか、とわかったのは当時の私にとっては大変大きな収穫であった。  

また「あなたの経験も生かせるのではないか」を中尉は「あなた」や「経験」を主語とせずに「彼ら」、つまり「officers」を主語として「彼らはあなたの憲兵隊での経験をアプリーシェイ卜する」。非常によろこんでくれると表現したのである。

われわれの英作文ならこの「生かせる」を「利用する」と考えて、多分 You can make the best use of your experience in the APIS. とするのが最高と考えるだろう。

まさか、その経験で「とく」をする使用者側のことは頭に浮かぶはずもなく、だから「彼ら」を主語とすることなど、われわれにとってみれば突拍子もないことなのである。  

また「先日彼らに聞いたことだが、欲しいと思う特別な分野で充分経験を積んだ通訳はなかなかいない」とも中尉は言ったが、この「いない」は「〜を探すのは、それは困難だ」という仮主語・真主語の形式を使っている。

われわれの英作文なら、それを「ある・ない」の存在、と考え There are few interpreters who〜 とするところであろう。