叩き上げの英語 122
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叩き上げの英語 122
2018年04月24日(火)5:00 AM
かろうじて最初のふたつ、マニフェストとリプレイスメントはRTOと横浜モータープールで、それぞれ荷送り状と部品交換という意味として知っていたのでよかったが、あとの語はどんな意味なのかまるっきりわからなかった。
人は道によってかしこし、ということわざがあるが、正に至言で、部外者にとってこれほどわからない言葉があろうとは思ってもみなかった。
英語ができるということは英文を組み立てる力があるということであって、必ずしも単語を、それがどんな分野のものであっても、すべて知っているということではない、ということを知らぬ人はやはり英語の力がないゆえかな、などと思いつつも彼女の説明を拝聴した。
説明途中で、いちいち単語の意味を聞くのも彼女の折角の説明の腰をいかにも折るようではばかられたので、ついに最後まで聞かずじまいだった。
事務所は広く、ゆったりとした机の配置であった、中学校の三十人入りの教室の二倍ぐらいの大きさだったが、そこには米兵は一人もおらず、全員日本人で女性六人を含む十五人が執務していた。
一月の寒中のこととてその室の中央には大きなオイルストーブがでんと据えられ、その煙突ダクトが天井を這って窓の外に突き出ていた。ドアを開けて入室すると右手の東側はずっと窓で、明るい光がいっぱいに差し込み、それを背にしてマネージャーの岩多某氏が一際大きな机に坐っていた。
隣の室は米兵と数名の日本人女性の秘書がいた。ときどきそこから制服の米兵が私たちの室に書類を持って入って来た。そんなとき、マネージャーの岩多氏とこんな会話が交わされる。