叩き上げの英語 114
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叩き上げの英語 114

 

私がタイプを打っていたように、彼ら労務者とはパス申請書類の翻訳作成だけのかかわり合いしかない私に、わざわざ使いの者をよこす、といえば聞こえはいいが、要するに「呼び出し」をかけてきたのだが、一体どんな用があるというのか。

私をAPの通訳と知った上でのこの呼び出しであることを考えると、「くればわかる」と言い捨てた彼の言葉は不気味になってくる。  

こういうことは放って置いても解決するものではなく、私は彼の言葉どおりにしようと決心した。何が私を待っているか知らんが、まさか命まではとらんだろう、と私は考えた。

しかしやはり万が一ということもある。私はAPにそのことを話しておこうと思い、夕食後CQ室を訪れた。事情を説明する英作文は大体しておいた。  

この話の主役は私に会いたいと言ってきた主任とかいう人で、私は当然ながら彼を主語とした。以下は私(N)とAPとの会話である。  N.One of the construction labors wants to see me at their Hamba dormitory.  

私はこれを作文するとき、KP時代、庭を掃除しようとした際の非常に簡けつな通訳ぶりを思い出していた。駅に使いの者をよこしたことは特に言う必要はないと考え、さらに「うちの主任」なども、英訳すれば my section chief だが、そんな事も必要ないと思った。

飯場は Hamba (ハンバ)としてAPの中でも通っていた。 AP.well, what for?  ずばり、「何のために」である。理由を聞くより目的をたずねたのである。

これは正確には What does he want to see you there for? という文章であり、what for 以外は繰り返しだから省略したと理解できなければならない。