叩き上げの英語 103
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叩き上げの英語 103
2018年03月08日(木)5:00 AM
検診が終わるとまた駅に戻り、カードの項に Checked と打つ。つまり「検診された」という受身形の be 動詞を省略した形である。だから過去形の「検診した」と考えたらそれはまちがいである。
この検診の結果は後日判明するが、もしVD患者とわかると即刻基地内の dispensary で強制的に治療を受けなければならない。つまり米軍の費用で治してくれるのだから、考えようによっては有難い話というべきであろう。
このようにしてAPのチェックを通った女性はAPと私の署名したカードを持って労管に行き、それを提示した上で適当な仕事につくということになる。
Whatever you say(何とでも言ってくれ)
三沢の九月はすでに秋は深い。山々の紅葉は短く、急激に冬をさそう北国の風にさらされ、すでにその葉は落ちていた。十和田湖畔は風の強い日にはコートを着なければならない程であった。
日毎に急激にしのび寄る冬は私をすくなからずホームシックにさせる。 異郷での寒さは心細い。すきま風の吹き込む小駅の事務室からは列車の到着を待つがらんとしたホームが窓越しに見えた。その窓をがたがた鳴らして、しのびこむすきま風はつめたく佗しさをさそう。
ホームの屋根と屋根との間に見える空は長方形に鋭く切り取られ、あたかもそれはゆるぎようのない灰色の壁であった。その壁はどっしりとしていて厚く、その表情は暗く物悲しい。やがてそこから冷たい雪や風が存分に降り下りてくる。