課題3 この棒の端をもっていてください。
課題3 この棒の端をもっていてください。
●命令文
「何々しなさい」であれ「何々しろ」であれ、相手に動作を行うように指
示、命令する姿には変わりがない。
丁寧に述べるか、あるいはそうでなく威圧的に述べるか、の違いはあるが。
この様な文を命令文と称する。
●その特徴
命令文はその特徴としていきなり動詞からスタートする。通常の英文なら、
当然そこに見る主語が、しかし命令文にはない。その動詞を称してその文
の命令動詞という。
●命令動詞
一般に動詞には大きく分けて自動詞もあれば、また他動詞もあるが、
どちらの動詞でもこの命令文に使える。つまり命令動詞になれる、という
ことである。
本文の場合の命令動詞は「持っている」である。だからと言ってhaveを
思ってはならない。
●意味をよく考える
この場合の「もつ」は所有の意味ではなく、「保持する」の意味であること
を知れば、ここは holdとしないとならないことが分かる。
そしてこれはご存知のように他動詞である。したがってその後には続けて
その目的語が来ることになる。
●どちら、なのか
それが二つ考えられるのである。「この棒(this stick)」なのか
「端 (end)」なのか、どちらだろうか。
●国語の感覚
つまり Hold this stick なのか, あるいはHold the end なのか、国語の
感覚でみると、どちらも可能であるはずである。
●意識
英語では両方とも適切とはいえない。英語では、どちらかといえば前者
なのである。つまり「端」が大切なのではなくて、むしろその「棒を意識
しての、そのような命令なのである。
●目的は
英語では「端」を holdするのが目的ではなく、むしろ stickを動かない
ようにhold.するのが目的なのである。
そしてそのためにその部位として endを指示しているのである。したがって
holdの目的語は 「この棒 (this stick)」なのであり、そのための部位として
「端(end)」 があるのである。
そこで次の図式ができる。
Hold this stick<端に おいて>
上記の< >内はその「おいて」から前置詞はatを思い at the endとなる。
つまりこの語順は Hold this stickで一個の完成文となり、一般に完成文に
その付属品しとして名詞や代名詞をつなぐ時には、常に前置詞を用いると
いう常識に基づいたものである。
この考え方が今後の学習に大いに役立つのである。
英文 Hold this stick at the end.
類例
彼は彼女の頬にキッスした。
He kissed her on the cheek. 〇
He kissed her cheek. ×
警官は彼の首根っこを押さえて捕まえた。
The police officer caught him by the neck. 〇
The police officer caught his neck. ×
中野幾雄