叩き上げの英語 226
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叩き上げの英語 226

 

サンフランシスコは単に寄行地で、ここの空軍基地、フォート・メイスンでわれわれ一行はそれぞれの任地に向かって別れて行く。

だから、いわばここは「通過地点」ということで一般に transit center と呼ばれていた。そしてわれわれ留学生は transient students であった。  

書類手続(paper work)のためここには一泊した。その間に私たち四人の空曹は揃ってサンフランシスコの夜の街を探訪して歩いた。  「サンフランシスコのチャイナタウン」と歌にうたわれたチャイナタウンにも行ってみた。

途中、街角に立つそれらしき女に声をかけられ、しばらく会話をたのしんだあと、しつこくさそう彼女を振り切るようにして帰ってきた。 その種の女性はどうも不潔感が先立ち、苦手である。  

私たちが目指すラックランド空軍基地(Lack land Air Force Base)はテキサスのサンアントニオ(San Antonio)にある。一八三六年、メキシコ軍との十三日間に渡る戦いで、デイビー・クロケットが歴史に残る壮絶な最後を遂げたという有名なアラモの砦がここにある。

人口は六十五万四千を数えテキサス中央部に位置している。 そこはサンフランシスコから鉄道で丸二日の距離にあった。フォート・メイスン transient office から支給された切符はプルマン鉄道の寝台車であった。  

汽車の長旅は疲れる。寝台車といっても、朝七時半頃には中年の黒人のボーイが来て、さっさとベッドを片づけてしまう。ベッドは窓の上にあり、ちょうどジェット旅客機の座席の上にあり、荷物を入れてパタンとふたをする荷物室のようなもので、引き出すとそれがベッドになっているという仕組みである。