叩き上げの英語 147
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叩き上げの英語 147

 

衛生状態や客すじの悪い店は地元の警察のアドバイスを受けて憲兵司令官がその名の下に連合軍立入禁止の札を入口に貼りつける。

つまり OFF LIMITS サインである。今ではほとんど聞かれないが、当時はこのオフリミッツはGIという言葉と同様に半ば日本語化していた。しかし、だれに対して立入り禁止なのかということになると、その言い表し方を大方の人は知らなかった。  

これは to all allied personnel というように前置詞の to を使えばよい。オフリミッツは大書してあるが、to 以下は小さな文字であったので、目にとまらなかったというより、そこまで気を配る人はすくなかったということであろう。  

パトロールはまず、そんなオフリミッツの店の入口の戸を開ける。昔ながらの、その下に車輪のついたガラス戸である。いやに軽く開く。中を見渡してもさすがにGIたちの姿は見えない。  

ママさんは、自分の店が金払いのよいGIたちの立入禁止処分にされたことに対するうらみがMPたちにあるはずである。しかし、早くその禁止処分を解除してもらいたがってもいた。

だからえらく愛想がよい。とくに通訳を味方にしておけば何かと有利だと判断がはたらくから私は方々のオフリミッツの店で歓迎された。

「Sorry, we are on patrol now. Any trouble with anybody?」 any をつづけて二回使っている。「トラブルはありませんか」という。with anybody と言っている以上GIに限っていないことになる。