叩き上げの英語 142
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叩き上げの英語 142

 

筆不精の彼に代って私が彼のアメリカの家に近況を知らせる手紙を書いたことがあったが、それが彼の地の地方新聞に掲載され、その切り抜きが送られてきたのである。

そのときの私は天にも昇るように嬉しかったことを今でも昨日のことのように鮮明に覚えている。悲しいときは食事ものどを通らないというが、嬉しいときも同じで、私はその日の夕飯が食べられなかった程に興奮してしまった。  

自分の書いた英語の手紙が、地方紙とはいえ、多くの人の目に触れる新聞に活字となってそのまま掲載されたということは、私の英語がきびしい筈のジャーナリストのテストを通ったと同じことであり、私にとっては戦時中の海軍のパイロット養成コースに合格したとき以来の一大事だったのである。

Nice to have you!  

やがて憲兵司令官室に通され、彼は大きな手で私に握手を求めながらこう言った。  

Nice to have you here Mr. Nakano. I have heard from Lt. Zimmerman that you know of that you have worked at the MPIS in Misawa Air Force Base.  

この Nice to have you はもちろん It is nice to have you という仮主語・真主語の形で、最初の It is を省略したものであり、これは三沢の憲兵司令官にもそう言われたと記憶しているが、新しく入ってくる人にはだれにもでもいう決まり文句であるらしい。

「あなたの知っている」と「ルテナン・ジマーマン」とが関係代名詞 that でつながっているスタイルであるが、「〜について知っている」という場合には know に of をつけることがわかる。