叩き上げの英語 151
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叩き上げの英語 151

 

GIたちは1ドル360円のレートに支えられ、好きな女性には求められるまま、いろいろなものを買い与えた。なかでもPXでしか買えない最新流行の洋服やショルダーバッグは女たちの羨望のまとであり、気前のよいGIを自分の彼にすることがそんな女たちのひとつの自慢でもあった。  

また盛り場にはつきもののちんぴら地まわりも肩で風を切って歩いていた。ギャバジンのズボンと言えば当時としては最高のもので、彼らはそういった女性たちを通じGIたちから手に入れていた。

非常にラインのつけやすい生地で、かみそりの刃のような線をつけ、得意になって歩いていた。  シャツはGIの制服を染めたものを着ていたが、米軍物資不法所持で摘発の対象であるにもかかわらずMPたちは見逃がしていた。

MPがひとことオッジューゲッタ(Where did you get it?)と言えばそれでよく、どんな弁明もできぬままちんぴらは警察に留められる破目になる。KPのときによく言われたこの言葉だが、今は私がそれを使う立場にあることを考えると有為転変の人の世とはいえ、その移り変わりの早さに目を見張るのみである。  

新規開店の店や、これはと思うところには、頼まれもしないのにちんぴらは客を連れていって、その店のいい顔になろうとする。店側も客が増えることならと彼らの、いわゆる顔が立つようにする。ママさんが一番喜ぶのはGIの客だ。

GIを一人連れていくことに成功すれば、そのGIは友人やまた女の子を連れてくるからである。さらにMPと知り合えば、店のママには上客として大いに感謝され、そのうえ自分たちのちんぴら仲間にも大きな顔ができるのである。